子育てをしていると、毎日のタスクや子どものお世話に追われて、
- なんだかイライラしてしまう
- 目覚めがスッキリしない
- いつも疲れている気がする
なんてことありませんか?
私自身、怒鳴ってしまった後、少し落ち着いてから「そんなに怒らなくてもよかったのにな」と思うこともよくあります。

これらの背景には、私たちのからだのバランスを保っている「自律神経系」の乱れが関係している可能性があります。
この記事では、自律神経の基本的なしくみと、ヨガの呼吸法を使って心身のバランスを整える方法を、子育て中のママにもできるようやさしく解説します。
呼吸で気持ちが変わる理由
自律神経とは
私たちの体には、呼吸や血流、消化や体温調節といった「生きていくための働き」を24時間休みなくコントロールしてくれている神経のネットワークがあります。
これが、自律神経(じりつしんけい)と呼ばれるシステムです。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経から成り立っています。
- 交感神経(アクセル):心拍や血圧を上げて、活動モードに切り替える神経
- 副交感神経(ブレーキ):心拍を落ち着け、体を休ませ回復モードに導く神経
この2つがバランスを取り合いながら、私たちの体と心を「ちょうどいい状態」に保ってくれています。
たとえば、
- 急に子どもが泣き出した時、心拍が早くなり手が冷たくなる(交感神経が働く)
- 子どもの寝顔を見ながらホッとした時、呼吸がゆっくりになり体がゆるむ(副交感神経が働く)

というように、自律神経は無意識のうちに環境に反応して働いています。つまり、私たちは基本的に自律神経を“直接操作することはできない”のです。
ところが──。
呼吸と自律神経の関係
意図的な操作で、自律神経のはたらきに影響を与えることができるものが、わずかながら存在します。
そのひとつが呼吸です。
本来、呼吸は自律的に(=勝手に)行われていますが、深く吸ったりゆっくり吐いたりと、意識的にも調節できます。
そして、
- 浅くて速い呼吸は交感神経を優位にし(=緊張モード)
- 深くてゆっくりした呼吸は副交感神経を優位にし(=リラックスモード)
このように、呼吸の質を変えることで、自律神経のスイッチを切り替えることにつながります。
実際、試合前の円陣などでは、「おー!」と短く吐くことで気合を入れます。
逆に、焦っている人を落ち着つかせたいときは、深呼吸を提案すると思います。
特に、子育て中のわたしたちは、常に予定通り行かない毎日の対応、慢性的な寝不足や緊張・プレッシャーで交感神経が優位になりがちです。
イライラしやすかったり、夜に眠りが浅くなったりするのは、「頑張っている証拠」であり、「神経がずっとオンになっている状態」とも言えます。
だからこそ、「呼吸を整える」という小さなセルフケアを取り入れることで、ほんの数分でも神経のスイッチをオフに切り替える時間を作ることができるのです。

ヨガと呼吸──心身を「いま」に戻す
呼吸を「プラーナ」「生命のエネルギー」として、とても大切にしているのが「ヨガ」です。
一般的なヨガのイメージとしても多い、ヨガのポーズ(アーサナ)も、呼吸を連動させて行います。
身体の動きと呼吸をあわせていくことで、自然と自分自身の内側に意識を向けていきます。
とくに子育て中は、注意が常に外側(子どもや家族)へ向かいがち。
そのため、自分の身体の感覚や感情に気付く時間が限られてしまいます。
だからこそ、呼吸に意識を向けることは、「いま」に自分を戻す行為でもあります。

今すぐできる!やさしい呼吸法2選
ここで、スキマ時間に簡単にできる、ヨガの呼吸法をご紹介します。
1.おなかに手をあてるだけでOK「やさしい腹式呼吸」
目的:副交感神経を高め、リラックスを促す
やり方:
- 仰向け、もしくは椅子に座って背すじを伸ばします。
- 両手をおなかに当てて、鼻からゆっくりと息を吸い、おなかがふくらむのを感じましょう。
- 吐くときは口から、細く長く。おなかが自然にへこむのを感じながら、丁寧に吐き切りましょう。
- 吸う:吐くの比率は「1:2」を意識してみてください。3〜5分続けるとだんだん落ち着いてきますよ。
👉 ポイント: 頑張って吸おうとせず、「吐くこと」を大切にすると、自律神経が整いやすくなります。

2.モヤモヤした心を鎮める「ブラーマリー呼吸(ハチの羽音の呼吸)」
目的:副交感神経を優位に/思考を静める/不安を軽減する
ブラーマリー呼吸は、息を吐くときにハチの羽音のような「ん〜〜」というハミング音を出す呼吸法です。
この音の振動が副鼻腔・迷走神経に響き、自然とリラックスモードへと導いてくれるといわれています。
やり方:
- 目を閉じ、軽く肩の力を抜きます。
- 鼻からゆっくり吸い、吐くときに口を閉じたまま「ん〜〜〜」と、のどを響かせるように音を出します。
- この吸って・吐いて・響かせるを5〜10回くり返します。
- 慣れてくれば、親指で耳をふさぎ、残り4本の指で目を覆いましょう。より自分自身に集中する感覚が生まれます。
👉 ポイント: 音の振動が内側に響く感覚を味わってみてください。
気持ちが落ち着かないとき、夜眠る前にもおすすめです。

まとめ──子育て中の「わたし」にこそ、ひと呼吸の余白を
呼吸を整えることは、身体を整えるだけでなく、心の安心感を取り戻すことにも繋がります。
忙しい日々のなかでは、中々自分の今の状態に気付くことが難しくなってしまいがちです。
そんなときこそ、「ただ呼吸に意識を向ける」時間が、何よりのセルフケアになります。
私自身、子どもが昼寝をしたその間に、マットを敷いてヨガをする。
ヨガをする気になれないときは、ただ座って目を閉じて静かにしている。
それだけで、「自分のために時間を使っている」という感覚が持てました。
わたしたちの体には、本来「自分をととのえる力」が備わっています。
その力にふたたびアクセスする方法として、呼吸を思い出してみてください。
今日も頑張った自分へ。丁寧な呼吸でそっとととのえてあげてくださいね。
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